こだわり

手作りでしかできないことがある。

なぜ臼工房柴田では手作りにこだわるのでしょうか。手間も時間も掛かり、技術も必要となります。それでも手作りにこだわる理由は“手作り・手作業でしかできないことがあるから”です。
臼作りの手道具

臼の作り方は2通り。

臼の作り方は刳物(くりもの)技法と挽物(ひきもの)技法の2種類あります。当方の臼の作り方は刳物と呼ばれ、刃物で窪みを掘る技法です。手掘りの臼は縄文時代後期からあまり変わらない道具と方法で作られています。
挽物は材を回転させて刃物を当てて削る技法です。昭和になって電動の大型旋盤が登場して大きな臼材を回せるようになりました。今ではほとんどの臼が旋盤による挽物です。

切れる刃物で削ることが大切。

手作業では“切れる刃物で削る”ことにこだわっています。刃物の仕上げと一般的なサンダー(紙ヤスリ)仕上げとの違いは、手触りや艶だけではありません。切れる刃物で削ることで水が染み込みにくくなり、腐りにくくなります。宮大工さんが手作業のカンナ仕上げにこだわるのはこのような理由からです。
臼上面のカンナ仕上げ作業

手作業で作ると木の癖がわかる。

仕上げ削りは重要ですが、途中の過程はチェンソーなどの機械でいいという意見もあります。ただ、手掘りで作ることで、木の性格や癖がわかります。臼杵の材料のケヤキは個々の癖が強いため、材の性格を知ることは重要なことです。
柄を削る道具

こだわりは無塗装にも。

現在はほとんどの臼が合成塗料で塗装してありますが、当方の臼は無塗装のままです。塗装をするのは、材の急激な乾燥を防ぐのが目的ですが、塗装するようになったのはごく最近になってからです。臼に塗装の必要は無いと考えています。刃物で削った肌であることも無塗装の理由の一つです。