第四章 臼を鑑賞する

臼の鑑賞(3)取っ手・上面・底面(4-4)

取っ手

主に胴臼についているのが取っ手。臼の取っ手は持ち上げるためではなく、起こすためのものなので、指が掛かる程度の深さしかない。臼は重いのでなるべく持ち上げない方がよいのだが、どうしても持ち上げなければならないときは、底に手をしっかり掛けるようにする。数、形、大きさ、深さ、位置は様々。珍しいところでは逆三角形のものがあった。ノコギリとノミで彫られるものが多いが、手ヂョウナで彫られるものもある。通常、2個から4個あり、大きい臼の方が取手の数が多い。

くびれ型の臼はくびれ部分に手を掛けるので取手はないが、希に取っ手付きのくびれ臼もある。くびれ臼には取っ手はないが、底に円形の窪みを掘った円形の取手が付いている。取手が1個しかない胴臼などにも底に取手が掘られていることがある。くびれ臼はすり鉢型に掘られていることが多く、搗きあがった粉などを横にして出すためにあると思われる。ミカン掘りの胴臼では横にしても出てこないので、底面の取っ手が不要になったのでは。

上面

臼の上面は平坦なだけと思っていないだろうか。平らな臼は多いが、わざわざ中に向かって内側に傾斜させて削ってある臼がある。それは米つき用で米粒がはねて上面に乗ってしまったときに、中に転がり入るようにするための工夫。現在のように餅つき専用の臼では必要ないが、その名残からいまでも内側傾斜で作られているものがある。

底面

底面はくびれ臼には円形の窪みの取っ手があるものが多いが、胴臼の場合はどうなっているのだろう。真っ平らなものもあるが、普通は中心を少し窪ませてある。地面に設置したときに安定が良くなるため。ただ切ってあるだけのものや、チェンソー削って窪ませているものもあるが、チョウナで削っているものもある。また、最近の旋盤で作った臼はレコード盤のような円形の筋がくっきり残っていることが多い。