臼の鑑賞(2)掘り・刳り(4-3)
掘り(刳り)形状を鑑賞する
よくどのような掘りが一番良いのか?と尋ねてくるひとがいる。どの掘り形状が一番良いということはない。地方の独特の掘り方や使用方法、使用目的で形状が大きく変わってくる。現在の臼は地域性は薄れてしまい、餅つき専用となったので、餅が搗きやすい、手返しがやりやすいなどはあるが、それも個人の判断ということになる。
古い臼は内縁が杵で叩かれて痛んでいるものが多い。ミカン掘りの臼は叩くと割れて取れてしまうことがあり、大きな傷となる。
今回は「掘り」としているが、例えば「ミカン刳り」という呼び方もある。また、分類名は正式なものはないので、通称であったり、勝手に名付けさせていただいたものもある。
ミカン掘り
中が広く内縁が張り出し、底がやや平ら。
深ミカン掘り
容量が大きく、主に米搗き用として使われる。ワラの束をドーナツ型にした臼輪を入れて、搗いた米が飛び出さずに縁の返しで内側で回るようになっている。
たまご掘り
みかん型より全体が丸く深い。容量が大きく主に米搗き用の臼に使われている。内縁が張り出しているものも。
すり鉢掘り
中心部が深い逆円錐形。主に粉砕用でタテ杵で粉にするときに使いやすい。
鉢掘り
浅い丸形。木鉢と掘った形が似ている。手返しがやりやすく餅搗きに向く。外に水が跳ねるのが欠点。
円柱掘り
円柱形の掘りで底が平らでとても珍しい。会津で見られた。