第四章 臼を鑑賞する

臼の鑑賞(1)外形(4-2)

外形を鑑賞する

臼は一本の丸太の輪切りから作られるが、シラタを残したまま使うのが一般的。シラタとは木の外側の白い部分で中央部分はアカミという。シラタは柔らかく腐りやすいので、家具や建材の場合はあまり使われないが、臼の場合は内部にシラタがなければ問題はない。ここでの分類方法や名称は正式なものはないので、わかりやすくするため、勝手に付けさせていただいたものもある。

胴臼

下広型

関東地方に多い。チョウナ、台ガンナ、電気ガンナなどで縦に鎬(しのぎ)が入っているものが多い。

筒型

旋盤を使った挽物で作るときに一番簡単に作れる形。

太鼓型

太鼓職人が臼を作る場合に多い形。丸みの強いものもある。ほとんどが台ガンナ仕上げとなっている。

上広型

山形などで見られる。山形では伝統的にくびれ臼が作られていた。くびれ臼は上外径より下外径が細いため、その流れからと思われる。

そのまま型

枝や出張りなどを削っただけでほとんど加工していないもの。

くびれ臼

くびれ型

全国的にはこの形が基本。くびれの部分はチョウナか手ヂョウナで削ってある。地域により仕上げ方やくびれの位置などに違いがある。

アイヌ型

岩手北部・青森より北の型。円錐形を逆さにし台をつけた形で、すり鉢型の掘り方になっている。現在ではほとんど作られていない。

昔はくびれ臼だった

くびれ臼は弥生時代からあり、江戸時代に胴臼が普及するまではほとんどくびれ臼だった。いまでも東北や山間部に多い。くびれ臼には竪杵を使う。
臼がくびれている理由はいくつかあり、(1)運搬が楽になるように無駄が部分をそぎ落とした説、(2)タテギネを使うのに足を掛けて押さえた説、(3)粉末にした物を臼を横にして出すために軽い方が楽だった説など。装飾のため、という説もあるが、製作にかなり手間が掛かるため、実用的な理由があると考えられる。

胴臼になった理由

胴臼になったのは江戸時代。横杵と同じ頃に登場し、セットで使うのが基本。竪杵から横杵になったのはパワーの違いだが、胴臼になった理由は不明で、(1)横杵に負けないようにより重い胴臼にした説、(2)平地で台車などで運搬ができたため軽くする必要がなくなったという説、(3)太鼓職人が作ったために太鼓型が出回るようになったという太鼓屋説、などがある。