臼職人の臼杵自由研究

はじめに(0-1)

はじめに

木臼、搗臼と刳物ついて書き留めたくてホームページという場でまとめることにしました。ブログで良いのでは、という方もいらっしゃるでしょう。しかしながら内容の追加や修正のことを考えるとHPの方が適していると判断しました。気が向いたときに、気になった項目をいじったり、新しいページを増やしたりが自由にできるからです。ご覧いただく方にとっては迷惑なことだとは思うのですが、勝手なホームページだということで、お許しください。

臼と刳物の魅力に取り憑かれた人生が始まった

刳物を始めたのは臼の修行を始める5年ほど前から。独学で椀は鉢、皿を刳物で作っていました。臼に興味を抱いたのは、じつは臼を作るようになってからです。

それまでは臼や杵のことを気にしたことはありませんでした。臼と杵のイメージといえば餅つきに使う道具で、木の丸太に窪みが掘ってあって、ハンマー型の杵でペッタンペッタンと搗くとお餅になる、という程度のもの。そこには工芸的な要素、鑑賞に値するものは何もないように思っていたわけです。しかし、実際には臼はとてつもなく長い歴史があり、人類にとって欠かせない道具のひとつで、奥が深いものだったのです。

実際に木製の臼と杵を作るようになってわかったことですが、これほど単純で、純粋で、奥が深く、難しいものだとは想像もできませんでした。それで臼と杵に興味を持ち、いろいろと知りたくなって調べてみることにした。すると臼に関する資料の少ないこと。わからないとなればより興味を持ってしまうのが人間です。それで自分が作っている木製の搗臼について、臼の製作方法であり、最古の木工技法のひとつである刳物について、勝手に研究してみることにしました。