ひび割れ臼の使用方法

乾燥でひび割れた臼
久しぶりに臼を出したらひび割れがひどいけれど大丈夫でしょうか?というお問い合わせをよくいただきます。当工房では臼のひび割れ修理はしていません。木は湿度の変化で伸びたり縮んだりし、臼の割れも開いたり閉じたりしています。そのため、埋め木をしても上手く止まりません。ひび割れた臼は使い方を工夫されることをお勧めしています。

使用前に水を張ることで改善します。

臼に水を張っている状態
当方のレンタル用の臼も乾燥しずぎてこのような状態ですが、臼に水を張ると木が膨張してひび割れがかなり改善しました。
臼を出したらお湯で洗い、水を張っておきます。この臼は水漏れはしませんが、全く水が溜まらない場合はビショビショに濡らしたバスタオルなどを入れておきます。すると少しずつ水が溜まるようになります。水ではなくお湯にするとより早く木が膨張してひび割れが塞がります。

ひび割れた臼に水を張ってポリ袋を被せる
外側のひび割れが気になるときは、臼上部に濡らしたバスタオルを掛けて、大きいポリ袋などを被せておくと効果的です。ただし、上面と外側を塗装されている場合は、塗膜で水分を吸収しないためにあまり改善しないかもしれません。

水張り1日後の状態
水を張って1日経過した状態です。かなりひび割れが塞がってきました。でもまだ少し開いていますので、さらに水を張って様子を見てみます。

水張り2日後の状態
水を張って2日経過した状態です。中側のひび割れは完全に塞がりました。外側のひび割れもかなり改善しています。
臼のひび割れの状態によりますが、水を3~7日ほど張ることでかなり改善します。ひび割れて水漏れする臼も深さの半分ほど水が溜まれば使用上の問題はありません。臼に水が溜まらなくても使用できますが、お餅つきでは臼をお湯で温めたいので、最低でも3割は溜まって欲しいところです。

蜜蝋(みつろう)やオイルは絶対にダメ!

ひび割れに蜜蝋やオイルを塗ってはどうか?という問い合わせがありますが、絶対にダメです。ネットで誤った情報が出回っているようです。蜜蝋の融点は62~64℃なのでお湯で溶け出してしまいます。オイルやワックスもお湯に溶け出す可能性があるので、臼に塗ってはいけません。