サイズのデータ集計について(6-1)
臼のデータ集計について
臼の修理で出会った100基の臼のデータを集計してみた。主に外径、高さ、深さを計測したものだが、関東地方の臼を中心にデータを集計しているため、地方により大きく数値が異なると予想される。外観や掘り形状については判断が難しいため詳細な集計はしていない。
なお臼を計る本来の単位は「尺」や「寸」なのだが、今回は「㎝」で計測している。
臼の大きさは上部外径が基準
臼の大きさは上部の外径を基準とするのが一般的。外径は丸太の直径で決まるのでごまかせないため。それでも外側の削り落としの量や太い方を上にするか下にするかで変わってしまう。最大径としないのは太鼓型の臼は中程が最大径になり、下広型は下部が最大径となり、臼により計測部分が異なるため。内径は縁の幅を薄くしたり、返しの有無でかなり変わってしまう。また、「○升搗き」という言い方もあるが、これは臼屋の主観で基準がないうえ、掘り形状などで大きく変わってしまう。
データ収集した臼について
- 1)100基の臼を計測した。
- 2)単位は㎝で0.5㎝単位で計測した。
- 3)正円でない場合や上面が斜めの場合、その他ゆがみがある場合はおおよその平均値とした。深さは一番深い部分の数値となっている。
- 4)使用された古い臼のみ計測した。計測は実際に修理した臼のみのデータとなっている。新しいものと当方で製作した臼は含まれていない。
- 5)神奈川・東京で所有されている臼が多いが、地方から修理依頼されたものもある。
- 6)生産地は関東のものが多いと思われるが、地方からの出張販売や仕入れ品もあるうえ、地方にある実家から持ってきたというもの、学校や自治体では寄付されたものもあり、購入先や生産地がわかるものは少なかった。
- 7)使用年数は5年から50年以上で、20~30年のものが最も多かった。
- 8)材質はケヤキ96基、ミズメが3基、カエデ1基だった。このデータ外に修理不能の臼としてマツ1基、トチ1基があった。
- 9)胴臼が98基で、くびれ臼は2基で山形と近畿のものだった。
- 10)掘り形状はミカンやタマゴ型が多く、返しのないものもあったが、すり鉢型は1個もなかった。