第二章 刳物と臼の道具

弥生時代の木工道具(2-2)

鉄器の出現

弥生時代には大陸から米作りが伝わり、同じ頃に鉄器が入ってきた。そのころの鉄は貴重品でまだ国内で生産することはできなかった。稲作が始まり、木製の農具も必要となり、鉄はきわめて重要なものだった。鉄を生産できるようになったのは古墳時代といわれている。

そのため、鉄の刃物が減ってくると他の刃物に作り替えて、大切に使っていたため出土品は少ない。木の柄だけ出土したり、当然なことだが砥石も出土している。また、加工品の刀痕から道具の刃の部分の形状を推測し、どのような道具で削ったかという研究もされている。

弥生時代の道具と刳物

オノ(斧)、チョウナ(釿)、ヤリガンナ、ノミ(鑿)、ショウトウ(小刀)などの小型のナイフ状のものなどで、単純な構造のものしかなかった。

これらの道具があれば鉢や皿、杓子などの刳物の製作が可能となる。オノで木材を割り、オノとチョウナで外側を削り、チョウナで窪みを粗彫りしてヤリガンナで仕上げれば木鉢ができる。杓子は柄が必要なのでちょっと面倒だが、時間を掛ければ難しくはない。

弥生時代にはまだない道具

ノコギリ(鋸)、台カンナ(台鉋)、細工用のノミ・彫刻刀など。

弥生時代のチョウナの作り方

現在のチョウナの構造はかなり複雑で高度が技術を必要とするが、弥生時代のチョウナはどのように作られたのだろうか。じつはそれほど難しくなくチョウナを作ることができる。鉄板に切れ込みを入れて上部を内側に曲げ、木の柄を入れればチョウナになる。単純な構造の道具しか作れなかったため、このような方法で作ったと考えられる。