※臼用の良材が入手困難なため、製作を休止しています。
ケヤキ材が激減して臼に適した材の入手が困難になったため、臼の製作を休止しています。良材が入手できた場合のみ製作いたします。
木製の手掘り臼は日本では約3,000年前からあり、刳り物(くりもの・窪みを掘って器などを作る)と呼ばれる最も古い木工技法で作られています。
鍛冶屋で鍛えた専用の刃物と、大工道具のカンナやノミで作ります。チェンソーや電動工具は補助として使用しています。
手道具による切れる刃物で仕上げています。サンダーは一切使いません。腕が試されるごまかせない仕上げです。写真はカンナ仕上げ(上)とチョウナ仕上げ(下)です。
中ももちろん手道具による手仕上げです。大昔からあるヤリガンナと小さい丸カンナ(上)、珍しいコシガンナ(下)を使って丁寧に削っています。
脱穀などで上面に飛び出した粒が中に転がり入るための昔の知恵です。木口になる上面もそり台カンナで丁寧に仕上げています。
小さい臼でも安定の良い、上が細く底が太くなっている「末広がり形」。
自然の木は同じものは二つとありません。クセの強いけやき原木の個性を生かした表情豊かな臼を作っています。
口より中が広い餅つきのための掘り方です。餅が返り臼の中面が痛みにくい特長があります。ご希望の掘り方もできます。
中底と底面の芯部分に水漏れを止めるためのクサビを打ち込んでいます。
ウレタン系の合成塗料を塗った臼が多いなか、昔ながらの無塗装のまま。
メンテナンス費用永年30%引き。
メンテナンス修理・補修費用をずっと30%引きにて承ります。
※配送は特典に含まれません。詳細はお問い合わせください。
ケヤキ製、無塗装、手掘り、手仕上げ(外側:カンナかチョウナ仕上げ、上部:カンナ仕上げ、内部:ヤリガンナ・カンナ仕上げ)
上部外径 | 価格(税込) | 適量 |
1尺3寸(40cm) | 80,000円(88,000円) | 1升 |
1尺4寸(約42.5cm) | 100,000円(110,000円) | 1.5升 |
1尺5寸(約45cm) | 120,000円(132,000円) | 2升 |
1尺6寸(約48cm) | 140,000円(154,000円) | 2.5升 |
1尺7寸(約51cm) | 160,000円(176,000円) | 3升以上 |
1尺8寸(約54.5cm) | 200,000円(220,000円) | |
2尺(約60cm) | 240,000円(264,000円) |
上部外径 | 価格(税込) | 適量 |
1尺3寸 (約40cm) |
80,000円 (88,000円) |
1升 |
1尺4寸 (約42.5cm) |
100,000円 (110,000円) |
1.5升 |
1尺5寸 (約45cm) |
120,000円 (132,000円) |
2升 |
1尺6寸 (約48cm) |
140,000円 (154,000円) |
2.5升 |
1尺7寸 (約51cm) |
160,000円 (176,000円) |
3升 以上 |
1尺8寸 (約54.5cm) |
200,000円 (220,000円) |
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2尺 (約60cm) |
240,000円 (264,000円) |
※臼用の良材が入手困難なため、製作を休止しています。
ケヤキ材が激減して臼に適した材の入手が困難になったため、臼の製作を休止しています。良材が入手できた場合のみ製作いたします。
・販売価格は参考価格です。完成時に決めています。
同じ木は二つとないため、価格は質や傷などにより上下します。
・つける量は最適な量を表示しています。
「つける量」は業者の主観によるもので統一された規格はありません。1升はもち米で1.4kgです。
・臼は店舗販売のみで通販はしていません。
同じ臼は二つとないため、個々に価格設定をしています。商品を直接ご覧いただき、ご納得いただいての販売となります。
・特別仕様の臼も製作します。
ただし、当工房の方針に合わないご注文はお受けできない場合もございます。
・材料持込みによる臼も製作します。
製作費は販売価格の6割です。無料補修はありません。
臼は新しいときと古いときでは保管方法が異なります。新しいものはまだ材が乾燥しておらず水分を多く含んでいるため、とてもカビやすく、急速に乾燥させるとひび割れしやすい状態です。臼材の水分が抜けるのに2~3年は掛かり、とくに最初の1年間の保管は気を付けなくてはいけません。
保管場所の環境はとても重要です。臼は乾燥し過ぎると割れてしまうし、湿気が多いとカビてしまいます。保管場所の環境を把握して保管方法を考えてください。
よく言われている保管方法ですが、新しい臼の場合はあまりお勧めはしません。急速な乾燥は防げますが、中が蒸れてしまいカビが生えやすい欠点があります。
※ご購入後3年以上経過したら水分が抜けているので毛布保管はお勧めです。
ポリ袋に直径10cmほどの穴を空けて臼に被せる方法をお勧めしています。臼の中の水分が乾燥し、外側は乾燥を防ぐことができます。外面はカビが生えることがありますが、シミになりくくくあまり気にならないと思います。ホコリが入る場合は、薄い手ぬぐいなどをポリ袋の穴の上に掛けてください。
ポリ袋のサイズは、臼の外径45cmの場合は90リットル、50cmは120リットルが適しています。塗装してある場合はあまり効果がないと思います。
臼の下にスノコや角材などを使って床から浮かせて保管してください。床面に設置していると腐ってくる可能性があります。
新しい臼はひび割れとカビのチェックを忘れずにしてください。とくに購入後2~3か月間は月1~2回はチェックするようにしてください。
臼にカビが生えていたらキッチン用のアルコールスプレーで除菌して拭き取ります。その後、ドライヤーの熱風で殺菌・乾燥してください。カビを放置すると浸透して黒いシミになってしまいます。シミになってしまったら修理ページ内の「カビのしみについて」の項目をご参照ください。
カビ防止に塩を入れる場合、はじめは3日ほど経過したら確認し、その後は1週間毎(2か月以上)に確認してください。塩から水が出て、臼によっては芯部分から塩水が漏れる場合があります。スチールの物置はサビの原因となるのでご注意ください。出た水は拭き取るなどして、新たに塩を補充します。水が出なくなるまで続けてください。入れる塩は茶碗一杯ほどで、なるべく広げるようにします。
※塩のカビ防止効果はご購入後2年程度で、それ以降は不要です。
どんなに保管に気をつけても、材が悪いと割れます。臼職人は割れにくい材を選んではいますが、割れない材だけで作ることは不可能です。ご購入前に必ず割れた場合の保証についてご確認ください。販売店の薦める保管方法以外の保管は保証対象外になる場合があります。また、割れにくい保管方法はカビが生えやすい保管方法といえます。販売店が薦める保管方法でのカビの保証についてもご確認ください。
当工房の製作過程を紹介します。ケヤキの丸太を臼の形に加工するだけなのでそんなに難しい工程はなく、基本的には縄文後期の作り方とは変わらないと思います。
ケヤキ原木は銘木市場で入手しています。臼職人にとってケヤキ材の仕入れは最も難しく、最も重要な工程です。臼用材は他の木工品と異なった特殊な目利きが求められます。見習いのときに親方から材の見方を伝授してもらうのですが、自分で材を選べるようになるには10年以上掛かり、一生勉強といえます。
ケヤキ原木を1年ほど寝かせると樹皮が浮いて剥がれます。そうなると作り時です。材はまだ半乾きですがこの状態で作ります。クレーンなどはないのでチェンブロックで丸太材を移動させています。
ケヤキの丸太を臼のサイズに玉切りします。原木には必ず節やコブなどがあるので、それらを外観から判断して切り位置を決めます。玉切りすると材の善し悪しもわかるし、傷が出てアウトというこもあるので、とても緊張する作業です。
臼は外側から作ります。臼職人によっては先に穴を掘ることもあります。チェンソーで円筒形にした後、電気カンナで形を整えてからカンナで仕上げます。たまに昔ながらのチョウナで仕上げることもあります。
木口にコンパスで円を描いたらチェンソーで切れ込みを入れ、臼用の先が長いオノでひたすら掘っていきます。チェンソーだけで荒掘りもできますが、うるさいしパワーがありすぎるしで性に合いません。
オノで臼の縁部分を叩いてしまうとおしまいなので、内縁を広げるときはノミを使います。ケヤキはとても堅いので、ノミ用にかなり重量がある金づちが必要です。
臼用のオノとチョウナでかなり掘ってしまいます。どちらも特殊な道具なの特注で作っていただきました。とくに臼掘り用チョウナは先端の形状が微妙すぎて、鍛冶屋のM氏には本当に感謝しています。
臼作りではこの手チョウナの作業がメインと言えるのではないでしょうか。お餅のつきやすさが決まる中の形状は手チョウナが導いてくれるんですよ。臼作りで一番好きな工程です。
仕上げは大昔からあるヤリガンナと台の付いた小さい丸カンナ(四方反)を使っています。ヤリガンナ1本で中から内縁まで仕上げることができますが、部分的に丸カンナを併用した方が楽に奇麗に仕上がります。
こんな特殊なヤリガンナ系の道具で「腰カンナ」と呼ばれています。ヤリガンナ系は体の使い方にコツがあって、使いこなすのは難しい道具です。丸カンナは入手しやすく使うのも簡単なので、こちらで仕上げるのが一般的です。
上面は内側に傾斜させます。まずはチョウナで上面内側を低くなるように削ります。このチョウナは通常のものとは異なります。棒屋チョウナと呼ばれる堅いカシの柄を削るために頭部分を重くした道具があり、それを大型にしたものです。
上面の仕上げは反台カンナです。木口を削るので力がいる作業です。もともとは臼はお米の脱穀用で、上面に跳ねた米粒が中に戻るようにしていた形の名残だと思います。
臼の内縁は内側に少し張り出していて「返し」と呼ばれます。この返し部分は丸カンナとそり台カンナを使います。ヤリガンナでもできるのですが台のカンナの方が向いています。切れる刃物で削るとエッジがシャープになるんですよ。
最後に運搬のために手掛けを作ります。ノコギリで切れ目を入れて、ノミで彫って作ります。形状や位置に決まりはありませんから臼職人によって様々です。いろんな手掛けを比べてみると面白いですよ。
近年、ケヤキ原木が激減して臼用材の入手がとても難しくなっています。原木市場のケヤキ材が10年前、20年前と比べると悲しいほど少なくなってしまいました。もともと臼に使うケヤキは特殊で、以前でも市場に行っても1~3本程しか良材はありませんでした。数が少なくなると品質は低下するもので、市場に行っても臼用の良材と出会うことはまずありません。主に埼玉の市場に通っているのですが、市場も減ってしまい4軒から2軒になってしまいました。
さらに悪いことに温暖化で冬が短くなっていることで仕入れ期間が短くなっています。以前は11月から2月まで仕入れていましたが、今は1月と2月だけ仕入れるようにしています。木材は寒い時期に伐採したものが良く、当工房ではそのような材しか使いません。暖かいと木が水(養分)を上げているため色が悪くなり、水分が多いのでカビや虫がつきやすくなります。時期が悪い原木は切り口に樹液が垂れた跡があるのですぐにわかります。仕入れの期間が短いということは、それだけ良材と出会うチャンスも少ないということです。
たまに当方の臼を購入したいとご連絡をいただくことがあり、とてもありがたいことなんですが、このような状況ですのでご予約いただいてもいつ臼が完成するかわかりません。ご理解いたけると助かります。現在臼を所有している方は大切にお使いください。